写真の儀式

Date_ 2012.05.18 23:04

2012年度前期1回目のアセンブリーアワー講演会が開催されました。
志賀理江子さん(写真家)による「いまださめぬ─ 写真の儀式」。

志賀さんは、ロンドン大学チェルシーカレッジ・オブ・アートを卒業後、
ロンドン、ベルリンで活動を続け、2008年には木村伊兵衛写真賞を
受賞するなど、いま最も注目されている写真家です。


講演は、志賀さんが暮らす宮城県の北釜という集落での体験を通して、
志賀さんが考え、感じた写真とイメージの関係、写真の時間性などに
ついて語られました。

美しい松林と海に魅せられて志賀さんが住みはじめた北釜。
美しい土地に出会って、そこに住み始めるなんて物語のようですが、
実際、とても幻想的な風景で、写真のイメージの世界に入りこんだ
みたいだったそうです。

北釜の記録を撮る町内カメラマンとして暮らし始めた志賀さんは、
あるおばあちゃんから遺影の撮影を頼まれたことがありました。
撮影の際、おばあちゃんの視線に「自分はイメージになる」という
強い意志を感じ、衝撃を受けたという志賀さん。
その視線から、「写真が時間に抵抗する」ということ、つまり、
写真が過去や現在、未来といった時間軸から開放される
儀式であると考えるようになりました。

また北釜の人たちの豊かさを物語るエピソードも。
志賀さんが一見不可解な写真を撮っていても、だれ一人
「なぜそんなことをしているのか」と訊ねませんでした。
むしろ「どうやったらそれが実現でいるのか」と考えてくれたり、
「今度はどんなものを撮るの?」と訊ねてきたり。

「なぜ?」という感覚を寄せつけない力をもつ北釜の人たち。
志賀さんは、それを“なぜ以前のポテンシャル”と表現し、
それはとても自由なことだと感じているそう。


東日本大震災によって、北釜も津波による大きな被害を受けました。
震災後、志賀さんは瓦礫の中から津波で流出した写真を拾い集め、
それを洗浄し、集会所に展示して、持ち主や親族に返却するという
活動を続けています。

すべてが流され埋もれてしまっても、紙である写真は水面に浮かび、
その白さゆえに瓦礫の中でもその存在を主張します。
写真そのものの存在の強さを感じると同時に、人間にとっての
写真というものの存在を考えるきっかけにもなっているそうです。
志賀さんにとって、この活動も写真の儀式なのかもしれません。

かつて魅せられた北釜の松林は、幻想やファンタジーではなく
社会そのものであった、という志賀さん。
失われたその風景は、北釜の深い懐に飛び込んだ志賀さんの
心の中に抱えられることになりました。

寄せる波のように紡ぎ出だされた、現実の物語。
その最後の言葉は、
「果たして、わたしは写真に招かれたのでしょうか」

何かに「招かれた」と信じることの強さ、
そして、生きていることの強さを理解したような講演でした。

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マシュー・オウさん×平川さんスタジオ中間発表会

Date_ 2012.05.17 16:11

建築コースのマシュー・オウさんと非常勤講師の平川さんが担当するスタジオの
中間発表会を見てきました。

写真左がマシューさん、右が平川さん。

このスタジオで行っているのは、
建築学科客員教授のアンドリュー・ザーゴさんと連携した授業。
ザーゴさんの研究テーマのもとに、
プラダ青山店の再設計プランを立てる課題に取り組んでいます。

ザーゴさんが研究しているのは、
平面のある形を立体的に押し出して形をつくり、
その立体を組み合わせて設計する建築について。
たとえばどんな建築物なのかというと、
スイス人の建築ユニット・ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した
ヴィトラ・ハウス」があります。
家の形をした平面を横に長く伸ばして、交差させ、
5層に積み重ねられた建物です。
内観は、シンプルな外観とは違い、重なった部分が螺旋階段でつながっており、
迷路のような大空間が広がっているのだそう。

ユニット・ヘルツォーク&ド・ムーロンは、
現在のプラダ青山店の設計も手がけていて、
ひし形を押し出した立方体をいくつも組み合わせて設計しています。


学生たちの課題では、アルファベットの形から立体を派生させて
設計をしています。
そのプランの途中経過を今日は発表していました。

ひとつのアルファベットを組み合わせて設計するのですが、
その組み合わせ方や、重なり方で生まれる空間の
大きさや形が変わってきます。
さらに、空間の担う機能(売り場だったり、通路になったり)も考えながら
設計しないといけないところが難しそうだなあと思いました。

たとえば、これは「C」を組み合わせた建物の図面。
Cをそのまま立てて使っている構造がおもしろいです。
こんな形のお店で買い物したらたのしそう。

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学内展示いろいろ

Date_ 2012.05.16 22:41

ギャラリーフロールでは、「所蔵品展[福井勇作品特別展示]」が開催中。


福井勇先生(1908~1988)は、京都精華大学の前身である
京都精華短期大学新設のための準備委員として、美術科開設に携わり、
その後も教員として活躍された先生です。

暗い背景に深くうつくしい赤色が際立つ、油彩作品が並びます。
柿やスイカなどの果物、ろうそくの炎、ケシの花など、
同じモチーフが繰り返し登場して、赤を描きたくてこのモチーフを
選んだんだろうな、というのが伝わります。


対峰館のギャラリーデッドスペースでは、大学院芸術研究科(立体専攻)
葛本康彰くんの個展 「a scene ―自重 / 自立― 」が開催中。


大きな布が吊るされた状態で固められた、時が止まったような作品。
布と石膏でできており、2日かけてギャラリー内で制作したそうです。
制作時に布を吊り下げていたはずの、いまは無い糸の存在を、
強く感じます。重力をそのまま形にしたような、、、重力と時間、
力の方向性は異なりますが、
「ジョジョの奇妙な冒険6部 ストーンオーシャン」に出てくる
プッチ神父の進化したスタンドを思い出しました。
(知らない人、すみません)

展示は5月27日(日)まで。葛本くんによる作品解説会が
22日(火)18:00〜デッドスペース前で行われるそうですよ。


対峰館4階の廊下では、特別展示「世界のカートゥーン作家」。
キャプションには以下のように書いてあります。
“学生が日々目標とする世界のカートゥーン作家の作品を展示しています。”
「きみたち、もっと上をみなさい」という先生からのメッセージ。
学生のモチベーションを刺激する展示ですね。


そして明日は、2012年度前期 第1回目の
アセンブリーアワー講演会です。
ゲストは志賀理江子さん。

「いまださめぬ― 写真の儀式」
震災後の活動が注目されている写真家の一人です。

たくさんのご参加お待ちしています。

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しかおのつぶやき