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2014.05
07
18:37

ダメな家具調テレビの生き様ーアニメ映画「ゴールデンタイム」

かつて、家具調テレビというものがありました。
昭和60年代に誕生した、木製のハコのなかにテレビがおさまっているカラーテレビです。
多くは脚がついていました。
家族みんなが集まって、その家具調テレビを夢中で見ていました。

そんな、いまはすっかり姿を見かけなくなった家具調テレビが主人公のアニメーション 「ゴールデンタイム」と、監督の稲葉卓也さんのトークショーを観てきました。

稲葉さんはセイカの卒業生でROBOT所属のアニメーション作家↓。
NHKの子ども向け番組のアニメーション作品やCMなどを制作しながら、 オリジナル作品の構想をあたため、社内で認められて今回の劇場作品を制作しました。
「ゴールデンタイム」では、監督/脚本/アニメーション/キャラクターデザインを務めています。

「ゴールデンタイム」は、1980年代になって廃品置き場に捨てられた家具調テレビが、あの手この手で脱出を試みるストーリー。
セリフは一切ないのですが、
子どもが見てもわかりやすいギャグと展開で観客をあたたかい気持ちにする作品です。

登場するのは、 捨てられたことを受け入れられない家具調テレビ、穴の開いてしまったバケツ、
いちいち自分でネジを巻かないと止まってしまうゼンマイ式のねこなど、
本来の使い道を失って用済みになってしまった道具たち。

幾度と脱出を試みるけどうまくいかないテレビが、
かつて自分をキラキラした目で見つめる子どもたちの姿を思い出すシーンは、ちょっとせつなくなります。
そんなテレビに、稲葉さんは自分のダメなところを重ねて描いたのだそうです。

「僕は自意識過剰なところがあって、
もっとすごいことができるはずだってずっと思ってたんですね。
でも38歳になって、そろそろ自分はこういうアニメーションしかつくれません、
ということを認めないといけない時期だなと感じて。

なので、主人公のテレビに自分を重ねて、自分を笑いたかった。
反対に、廃品置き場を楽しんでいるバケツたちは自分のあこがれなんです。
水がこぼれるバケツなんて役に立たない。
でも、雨の日を楽しみにして、たまった水を吐き出して楽しんでいる。
ありのままの自分を受け入れているんです」と稲葉さん。

一見、主人公になりえないキャラクターたちの悪あがきや感情がとても人間らしく、身近に感じられる理由がわかりました。

トークショーのなかで、稲葉さんは卒業してすぐにつくったというアニメーション作品を見せてくれました。
火曜日に女の子のおっぱいから火が出ていたり、
金曜日に家出した彼女が中国人の金さんを連れて帰ってきたりと、
とてもシュールでオシャレなダジャレアニメーションです。

その頃の自分をふりかえって、
「奇をてらってましたね。
オリジナルをつくりたい、だれもやったことのないことをしたいと思っていました。
でも、自分のダメなところを作品に投影したり、
自分の実感をともなったところで作品をつくりたいと最近は思うんです」
と話されました。

個性やオリジナルがどこから生まれるのか、ひとつの答えを出されたんだなあと思いました。
そして、「ゴールデンタイム」はそんな稲葉さんそのものなんだなあと。

そして特筆すべきは、「ゴールデンタイム」の結末。
さあ、家具調テレビの行く末はどうなったでしょう。
私はこの結末がとっても気に入りました。
ヒントはこのブログのなかにも潜んでいますよ。

ぜひ、映画「ゴールデンタイム」を観に行ってくださいね。
立誠シネマで公開されている「手仕事のアニメーション」のなかのプログラムに組み込まれています。
原画の展示も絵本「ゴールデンタイム」の販売も同時開催されているので、こちらもぜひ。

Comment コメントをどうぞ

  • 山田一雄
    2014年5月21日12:40

    なかなか面白いアニメですね

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