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2014.06
26
15:20

森村泰昌さんによって、ヨコハマトリエンナーレはいかにしてつくられたのか(アセンブリーアワー講演会)

2014年度初回のアセンブリーアワー講演会のゲストは、美術家の森村泰昌さん。
ゴッホの自画像に扮したセルフポートレイト写真を発表して以後、一貫して「自画像的作品」をテーマにした写真や映像作品を制作し続けています。

講演会の前半では、森村さんのこれまでの作品を一挙に紹介。美術史上の名画や往年の映画女優、20世紀の偉人などに自らが扮した135点のセルフポートレイト作品が、X Japanの「Forever Love」(この選曲の理由が聞きたい!)にあわせてスライド形式で次々に映されました。

「子どもの頃から一人芝居が好きで、それを今も引きずっているんです。」と森村さん。
「一つだけ自慢できるとすれば、一人芝居に命がかかっているところでしょうか」
感慨深げな表情で話す姿が印象的でした。

森村さんは作品のなかで、老若男女はもちろん、花など人間以外のものまですべてを一人で演じています。何かの役を演じるということを自分に置き換えて考えたとき、男と女、親と子、先生と生徒など、誰しもが人生においてさまざまな立場を演じている(あるいは演じざるをえない)とも言えるわけで、演じることは人間の本質的な部分に由るものなのかもしれません。

また、森村さんは世界各地の美術館や展覧会で作品を発表する一方、今年8月に開幕する国際美術展「ヨコハマトリエンナーレ2014」のアーティスティック・ディレクターに就任したことでも注目を集めています。

講演会後半は、美術家である森村さんがアーティスティック・ディレクターを引き受けた経緯や、ヨコハマトリエンナーレのコンセプトや特長について、出品作家の紹介を交えながらお話しいただきました。

アーティスティック・ディレクターとは、その展覧会のプロジェクトを仕切るリーダー。
リーダーとして必要な資質と美術家のそれとはまったく異なるということ、そしていまの時代は強いリーダーが求められているが、自分はまったくリーダーへの興味も欲望も無いと話す森村さん。
普通なら「自分はリーダーに向いていないから引き受けない」となりそうですが、森村さんは「そんな自分だからこそ、新しいリーダー像をつくることができるかもしれない」と考え、その役を引き受けました。

アーティストとは新しい価値を創造する人たちだと僕は思うのですが、日本をはじめとする世界各国で国際展が乱立するいま、森村さんは社会のなかで新しい価値をもった展覧会を創造しようとしているのだと感じました。
今回のヨコハマトリエンナーレを、子どもの鑑賞を意識した展覧会として考えられている点からも、そのことがうかがえます。たとえば、展覧会カタログは一般を対象としたもの以外に、ひらがなだけですべて書かれた子ども用のものがつくられます。カタログ以外にもどんな工夫がされるのか、子をもつ親として興味深く楽しみです。

展覧会コンセプトのキーワードとなった「忘却」をめぐる深い話や、コンセプトをもとに選んだ参加アーティストの話など、準備を進める中で考えたり経験されたことについて物語を綴るように話していただきました。

「ここにはいろんな表現をしている人がいると思いますが、今日の話が何かヒントになればうれしいですね」
森村さんの言葉どおり、作品や展覧会をつくるためのヒントがたくさん散りばめられていた講演会でした。

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