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2014.07
10
13:26

人気イラストレーター大槍葦人先生の「特別講義」×「作品講評会」×「ライブペイント」三本立て!

ある日、イラストレーターの大槍葦人先生がツイッターで「自分の個人的スキルのセミナーをやったら、聞きたい人がいるのだろうか?」という趣旨をつぶやきました。それを見つけた、キャラクターデザインコースの西野公平先生は、すかさず講演会のオファーを出します。こうして今回、大槍先生「人生初の授業」が実現することになりました。

大槍先生は、イラストレーター、マンガ家、ゲームクリエイター、ゲームブランド代表など、様々な肩書きをお持ちの方ですが、幼い頃は、絵は上手くなかったそうです。しかし、友人の影響でマンガの模写をしたことがきっかけで、格段に絵力が上がったと言います。その模写をしたマンガが、車田正美先生の 『風魔の小次郎』だったとは驚きでした…。

1980年代、パソコンPC-8800シリーズ(NEC)が世に登場し、大槍先生は、ゲーム『イース』(日本ファルコム)と出会います。当時として は画期的だった美しいグラフィックや、ロールプレイングゲームの世界に心を打たれ、中学生にして、「将来、自分の好きなゲームを作る、会社の社長になる」という人生の目標を立てます。

その後、テーブルトークRPG用に(お前は絵が上手いからという理由で)イラストを描いたり、ゲーム研究会に所属してプログラムを学び、パソコン用ゲームを作ったりと、ゲームに関わる事に、積極的に取り組んでいきます。
ところがある時、漫画研究会の先輩からの頼みで、同人誌の絵を描くことになり、初めてコミックマーケットの存在を知ります。そして「オタクって、こんなに大勢いるんだ…」と、驚愕するのです。

ここで大槍先生は「これだけ大規模のオタクがいて、同人誌もたくさん売れるのなら、ゲーム会社を作るための近道かもしれない!」と、自ら同人誌を描き始めます。
その後、商業誌からオファーが入ったことから、プロのマンガ家としてキャリアをスタートします。

とはいえ、夢をあきらめたわけではありません。マンガ家として活動しつつ、当時のローカルパソコン通信「草の根BBS」(今でいうネット掲示板)やインターネットなどを使い、「ゲーム業界の方、僕を拾ってください」と、アピールを続けていました。すると、とあるゲーム制作会社から声がかかり、予定していたマンガ連載を断って、ついに、ゲーム『北へ。』(レッド・エンタテインメント、ハドソン)の制作に、キャラクターデザインとして関わることになるのです。

そして退社の後、ゲームブランド「Littlewitch」を設立。『白詰草話』を発表します。

こうしたご自身のエピソードを語りながら、学生たちに、「仕事を受ける時には、ギャラや条件の交渉をすることや、自分の影響力をだんだん上げることを考えておく」「頼まれた仕事だけをするのではなく+αの仕事をする」「どれだけ作家が努力をしようと、ファンにはそんなことは関係ない」といったアドバイスをします。

さらに大槍先生は、次のように語ります。

ファンは「この作品がいいな」「気に入ったな」という、自分の気持ちに対してお金を払っている。それは作品のクオリティではなく、「感動」や「好き」という自分の気持ち。だから絵を描く時は、自分の思いをいかに描くかだけではなく、どうすれば見た人の気持ちを動かせるかを考えてほしい。例えば「女の子」の絵を描く場合は、自分でも「かわいいな」と思い、かわいさを追求して描き続ける。そういう気持ちが、お客にも伝わるのだと思う。逆にクォリティだけを重視して「わたしは絵が上手だから」と思いながら描いたら、それがお客に伝わる。上手いだけの絵ではキャラクターを好きになってはくれない。人の心を動かせない。

また、ご自身で用意された「大槍の絵力成長チャート」によると、小学時代の模写からはじまって、マンガ家デビューやゲーム制作など、当時の自分の実力より、高いレベルの仕事に取り組んだ時に、絵力が急激に上がっているのが分かるそうです。一方で、惰性で絵を描いている時期に力が落ちている。だから学 生には、常に色んなことに挑戦してほしいと話してくれました。

続いて行われたのが「作品講評会」。学生たちが描いたキャラクターについて、1人ずつ講評するのですが、ここでも、シビアなお話から始まります。
業界データに基づく作家ヒエラルキー図(ランク別年収記載!)を見せながら、「絵描き全体の中で、常にトップ10%に入っていないと、将来は生き残れない」と…。

学生たちの作品に対しては、「画力が問題」「アイデアが足りない」と、厳しく指摘しながら、「最初に思いついたアイデアは、凡庸である可能性が高 く、あえてボツにする勇気を持ってほしい」「自分が憧れるプロの仕事を徹底的に分析すること」「ファンタジーな絵だとしても、実在する洋服や道具など、普段からよく観察しておくとよい」といったアドバイスも入ります。
中には、「よく描けている。プロのレベルに達している」といったコメントも。

プロの世界は「椅子取りゲーム」に似ている。ひとりのファンが好きになる作家は、せいぜい1~2人。ファンの数に限りがあるのだから、作家の椅子にも限りがあると思って欲しい。だからプロになっても、絵の勉強は続けなければならない。そうでなければ、作家で居続けることはできない。
プロになれば、締切に追われたり、仕事がうまくいかなかったりと、つらい事も多い。それでも続けていられるのは、自分は絵が好きだから。学生のみんなには、絵が嫌いにならない程度に頑張ってもらいたい。絵はある日突然上手くなるもの。目的意識を持って、絵描き続けてほしい。

大槍先生はこう語って、講評を終えました。

イベントの最後を飾る「ライブペイント」。学内から150人を超える参加申込みがあり、会場は立ち見がでるほど盛況でした。

長い時だと、1週間まるまる描き続けることもあるという大槍先生。90分間という短い制限時間、しかも慣れない作業環境の中、プロの集中力で作業を進めていきます。そのテクニックに、学生からは「おぉ~!」というどよめきが起こります。

「可愛くねぇな~」と、何度もキャラクターの顔を描き直す大槍先生。このこだわりと集中力を、学生の皆さんには見習って欲しいものです。

ここまで順調に見えたライブペイントでしたが、大槍先生が思わぬ一言を発します。

「2人も描くんじゃなかった…」(会場爆笑)
そう、90分間では時間が短すぎるのです。しかしそこはプロ。残り15分から、一気に絵を完成させました。

大槍先生の「人生初の授業」は、延べ6時間におよぶ、たいへん充実した内容となりました。イラストレーター、マンガ家という職業について、ご自身の経験を包み隠さず語って、業界の厳しさを語る一方で、学生に対しては、たいへん優しく、親身になってアドバイスをくださったように思います。

大槍葦人先生、今回は長時間にわたるご講義、本当にありがとうございました!

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