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2014.07
25
10:59

ツトム・ヤマシタさんが語る、芸術が持つパワーとは。

先日、ポピュラーカルチャー学部客員教員 ツトム・ヤマシタさんの特別講義が行われました。

ツトム・ヤマシタさんは、17歳で渡米、音楽学校で学んだのち、数々のオーケストラと共演してこられた、世界的に活躍する打楽器奏者です。
デヴィット・ボウイ主演の映画『地球に落ちてきた男』のサントラを担当するなど、作曲家としても才能を発揮。 近年は、石の楽器サヌカイトによる音楽や音禅法要(OnZen)などでも精力的に活動されています。


経歴からもわかるように、非常にスケールの大きな方。
特別講義で話されたエピソードもとてもスケールが大きく、世界、いや宇宙すら感じるほどでした。

中でも私が印象的だったのは、インドネシア・ジャワ島でのエピソード。
ユネスコの依頼を受けて、ジャワ島で行われるフェスティバルの顧問に就任することになったツトムさん。
仏教、イスラム教、バリ・ヒンドゥー、カトリック、アニミズムなどさまざまな宗教が混在するインドネシアであらゆる宗教をうまく調和させた式典にしたいとのオファーを受けます。
宗教感の違いから、間にある壁は高い。さてどうする・・・

ツトムさんは持参していた石の楽器を奏で、集まっていた各宗教のリーダーたちに聞かせます。
すると、今まで相容れなかったリーダーたちの間に自然と対話がはじまったといいます。
「素材とそこから生まれる音は世界共通のもの。だからそこに対話が生まれたんだ」とツトムさん。

そして、集まるリーダーたちから、ツトムさんはある質問を受けます。

「あなたは何のために音楽をやっているのか?」

===

ここで、ツトムさんは講義に参加していた音楽コースの学生たちに同じ質問を投げかけました。

「自分の中にある表現を外に出して、結果的に誰かに認められる存在になりたい」
「音楽によって、自分も人もしあわせにするため」
「誰に規定されるのでもなく、好きなことをやって自分に正直に生きたい」
「自分のつくった音楽をきいてもらい、誰かと思いを共有する」

学生たちの答えはさまざまで、まさに今音楽を学んでいる若者たちらしいと思わせるものばかり。

同じ質問にツトムさんはこう答えました。
「私はあなた方の対話をうながすパイプ役となるために音楽をやっている。
石の楽器の演奏家として、一緒に演奏することで、あなた方をもっと深く知りたいと思っています」。

異なる宗教、異なる国籍、異なる文化を持つ人たちの対話を生み出し、人と人をつなぐ。
そして、人をしあわせにする。
それこそが、芸術の持つパワーなのだとツトムさんは言います。

講義の最後に、「若い人たちに伝えたいんだ」と言いながら、
20世紀という文化的に多様で、変化が大きかった時代を経て、
21世紀を生きるあなたたちは何をつくるべきか、とツトムさんは問いかけました。

「あるジャンルに属すると、すでにつくられてしまっている型にはまってしまう。
基礎的なものを習得した後には、その型から一度離れなければならない。
社会的な束縛からいかに離れるか、それがアートの本質なんだ」。
ツトム・ヤマシタさんの講義はこう締めくくられました。

音楽コースの学生はもちろん、表現活動を行う学生すべてにあてはまる今回のお話。
人と人をつなぎ、しあわせにする芸術のパワーがあれば、精華の学生の力を集めることで
世界、いや宇宙をもしあわせにできそうです。

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