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2015.01
23
09:47

日本のマンガが持つ力とは。(内田 樹さん×竹宮惠子先生対談)

マンガのヘビーリーダーである思想家・武道家の内田 樹さんと、マンガ家で、精華の学長である竹宮惠子先生の対談から生まれた『竹と樹のマンガ文化論』が、昨年の12月に出版されました。
対談の際に、精華のマンガ教育について感銘を受けた内田さんは、それをきっかけに4月から人文学部の客員教員に就任してくださることに。
うれしいニュースを呼び込んでくれた1冊です。

先日、この本の出版を記念して 内田さんと竹宮先生のトークイベントが開催されました。
『竹と樹のマンガ文化論』では、日本のマンガがこれほどにまでグローバル化した理由を、お2人の対談を通して、マンガが持つ「7つの力」として解き明かしています。
今回のトークイベントでも、独自の進化を遂げてきた日本のマンガが持つ力について分析。
読み手と描き手の両面からマンガを論じるおもしろさと、日本のマンガのすごさを実感させられる対談となりました。

まずは、読者の心をわしづかみにする「作品の力」について。

これについて竹宮先生は「わしづかみにする、とは読んでいる人が主人公になったかのように読める、ということ。物語が自分のことになり、いつしか主人公とすりかわる」と言います。
それに対し、内田さんは「マンガにはゆっくりとした情景描写もなく、1コマ目からいきなりその世界がはじまっている。すでにはじまっている世界に、読者は襟首をつかまれてひきずりこまれる。だから、読者は必然的に登場人物に呼吸を合わせていくことになるんです」とマンガの持つ特性を指摘します。

登場人物の紹介や物語の背景の説明もなく、マンガは突然はじまる。
号泣している主人公で1コマ目がはじまったりすること、よくありますよね。
「なんで泣いてるの?主人公ってどんな人なの?」と疑問に思い、その疑問を解こうとして、どんどん読み進めていき、いつしかその世界に引き込まれている。

読んでいるうちに、自然と心をわしづかみにされてしまう日本のマンガ恐るべし、です。

日本のマンガには、独特の表現方法があり、その表現方法は時代を経るごとに進化を続けています。
たとえば、目の中に星が描かれている少女マンガの主人公。
いつ、誰が最初に星を描きはじめたのかはわからないけど、その誰かの表現を、後世のマンガ家がマネをすることで、どんどん広まっていったのです。

誰かが誰かの表現をマネることで、マンガは改良されつづけている。
それこそが、日本のマンガが発展してきた理由であり、 「マンガはオープンソース」だから、と竹宮先生は評します。

「オープンソース」とはコンピュータ用語で、ソフトウェアなどをインターネット等を通じて無償で公開し、誰でもそのソフトウェアの改良、再配布ができるようにしたもの。
マンガも同じように「オープンソース」で、「これは私だけの表現」と閉じることがなかったからこそ、表現もどんどんバージョンアップされて、つねに新しいものが生み出されてきたのです。

「まさに”集合知”ですよね」と内田さん。
集団で稲作をしてきた時代から、日本人はコミュニティで何かを作り上げてきました。
「日本人はすぐに群れをつくる」と批判されることもありますが、「共同作業だからこそ達成できることもある」と内田さんは言います。

現在では、日本のみならず世界中で愛されているマンガ。
京都精華大学でもさまざまな国から、マンガを学びに来る留学生がたくさんいます。
「ここ(京都精華大学)で学んだことを自分の国に帰ってもみんなに教えてほしい。ネットに書き込んでもいいから、と留学生たちに伝えています」(竹宮先生)
「オープンソース」なマンガが世界に広まっていく、その出発点が京都精華大学とは、考えただけでもワクワクします。


ほかにもトークイベントでは、「オリジナリティをどうやって獲得するのか」「『風と木の詩』誕生秘話」など、ここには書き切れないぐらいの貴重なお話が続々。

イベントに参加できなかった!という方は、ぜひ『竹と樹のマンガ文化論』をお読みください!
マンガはもちろん、表現することに役立つ素敵なことばがあちこちにちりばめられていますよ。

 

 

 

 

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