seika∞sekai – 京都精華大学ブログ -

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2013.12
02
19:56

物語を着ることをナイジェル・ケーボンが教えてくれた

このパーカー、28万円というお値段ですが、
世界中で毎年数百着売れるというあつい支持を受けています。

これは、ナイジェル・ケーボンさんのデザインするブランドの製品。
先日、ポピュラーカルチャー学部の客員教員である彼の特別授業がありました。

彼の名を冠したブランド「Nigel Cabourn」はイギリスで40年以上前に立ち上げられ、
日本でも35年前から販売されているメンズファッションブランドです。
しかし、ブランド立ち上げ当時はカジュアルファッションの概念が薄い時代。
40年前のイギリスには若者向けの本や服といったコンテンツはなく
発想の源泉になるような刺激がなかったそうです。
だから、彼が40年間デザインを続けるために必要だったのは
発想のためのインスピレーションを絶やさないことでした。

ナイジェル・ケーボンさんが今まで心がけてきたことは
自分のいま身をおいているライフスタイル、時代性をよく見ること。
40年前で例えるなら、The Whoやピーター・グリーンといったポップスターや
モッズ文化、そしてイギリス特有の繊維、など。

最初に紹介したパーカーの秘密も、彼のイギリスに対する独自の感性にあります。
1953年に英国登山隊としてエベレスト初登頂を果たした
エドモンド・ヒラリーが着用していたダウンジャケットをベースにし、
その機能や製法にもとづいて現代に蘇らせたのが先ほどのものなのです。
当時、世界の国々が争って最高峰登頂を競い合った時代でした。
登山家たちや、彼らの装備品を開発するスタッフたちは、
国の威信をかけ、最高の技をつぎ込んで登頂を成し遂げたのです。
そして生まれたのが、エベレストの極限環境にも耐えるダウンジャケット。
最高級の素材を使用し、とても複雑な製法も盛り込まれました。
それをさらにアップデートし、生まれ変わったのが先ほどのパーカーなのです。
こんなロマンある物語を羽織ることができるからこそ、売れる。

ライフスタイルを、羽織りたくなるようなかたちに変換するのが
ファッションデザインだなんて考えたことなかったです。
私の父親の仕事はアパレル関連だったからファッションは身近だったはずが
かえってファストファッションに目が向きがちで…。
正直言って28万円のパーカーなんてピンとこないのですが
それくらいにファッションデザインって奥が深いということに今更気づきました。

人生はデザイン一筋で、デザインの裏付けは人生そのものの中にある。
こんなに簡潔でスタイリッシュな生き方ってうらやましい。
生き様がかたちになるって、ほんとうにかっこいいなぁと思います。
見てください、この先生たちのウキウキな表情を…(笑
(左から蘆田先生大下先生西谷先生。)

一方、ファッションコースの学生たちの目つきは真剣。
先人の生き方を吸収しようと頑張っています。
服のディテールをチェックする手つきや目の付け所が
普通の人のショッピングのそれとは違いました。
この8ヶ月の学びの成果ですね。

私もこの講義に参加して、ファッションの見方が変わりました。
服屋さんに行くのがなんだか楽しみです。

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